不動産売却での減価償却とは?計算方法や注意点も解説

共有持分売却窓口のお役立ちブログ

新井 一毅

筆者 新井 一毅

不動産キャリア22年

不動産売却での減価償却とは?計算方法や注意点も解説

不動産を売却して譲渡所得(利益)を得ると、その譲渡所得に対して税金が課されます。
譲渡所得を算出する際には「減価償却」という処理が必要になるため、事前に理解を深めておきましょう。
そこで今回は、不動産を売却するときに計上する減価償却費とはなにか、減価償却費の計算方法や注意点について解説します。
不動産の売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産の売却で計上する減価償却費とは

不動産の売却で計上する減価償却費とは

減価償却というと、会社の建物や設備に対し、経費として計上する会計処理といったイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
また、減価償却という言葉をはじめて聞いた方もいらっしゃるでしょう。
そこでまずは、「そもそも減価償却とはなにか」といった基礎知識から解説します。

減価償却とは

減価償却とは、年数の経過とともに減少する資産の価値を金額に換算し、経費として計上する手続きのことです。
この手続きの際に計上する金額のことを、減価償却費といいます。
主に会社の建物や工場、設備、工具、重機などが対象となり、資産の購入費用を耐用年数に応じて1年ずつ分割して計上していきます。
資産は長期に渡って使われるものであり、その価値は年数が経過するごとに減っていき、最終的にはゼロになるという考え方です。

不動産売却との関係

減価償却費が影響するのは、法人税と譲渡所得税です。
法人は、決算後に毎年法人税を支払う必要があり、その際に資産の減価償却を計上します。
不動産においては、法人の資産に対する減価償却とは意味合いが異なります。
不動産に関して減価償却が必要になるのは、不動産の売却による譲渡所得を算出するときです。
譲渡所得は、以下の計算式で算出します。
譲渡所得=譲渡価格-取得費-譲渡費用
譲渡価格とは、不動産の売却価格のことです。
取得費は、不動産の購入代金と、購入時に支払った印紙税や仲介手数料といった諸費用を合計して算出します。
譲渡費用は、不動産の売却時に支払った費用のことです。
たとえば、売却時に支払った印紙税や仲介手数料、土地を売るためにかかった建物の解体費用などが該当します。
不動産の購入代金のうち建物に関しては、購入時の金額を計上するのではなく、現在の価値を反映させなければなりません。
なぜなら、建物は年数の経過とともに劣化することで価値が下がるからです。
このときに、減価償却が必要になります。
つまり、譲渡所得を計算するときに計上する建物の取得費は、建物の購入価格から減価償却費を差し引いた金額になるのです。
したがって、建物の取得費は以下のように計算します。
取得費=購入価格-減価償却費
なお、土地は年数の経過とともに劣化するものではないという考えから、減価償却の対象にはなりません。

減価償却の狙い

不動産を売却するときに減価償却をおこなうのは、譲渡所得税を抑えるためです。
取得費を多く計上すれば、それだけ譲渡所得が低くなります。
譲渡所得税は、譲渡所得に税率を乗じて計算するため、譲渡所得を少なくすることで、譲渡所得税を抑えられるのです。

▼この記事も読まれています
共有名義の不動産はトラブルが起きやすい?3つのケースで解説

不動産の売却で減価償却をおこなう場合の計算方法

不動産の売却で減価償却をおこなう場合の計算方法

では、実際に譲渡所得を計算する際に取得費から差し引く減価償却費は、どのように計算するのでしょうか。
そこで次に、建物の減価償却費の計算方法について解説します。
減価償却費の計算方法には、「定額法」と「定率法」の2種類がありますが、平成28年4月1日以降に取得した建物については、定額法を用いるのが一般的です。
計算式は、以下のとおりです。
減価償却費=建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数
上記の計算式に必要な項目のうち、「償却率」と「経過年数」の内容について解説します。

償却率

償却率とは、1年間に資産の価値が減少する割合のことで、建物の耐用年数に応じて定められています。
住宅として使用される建物の耐用年数と償却率は以下のようになります。

●木造…耐用年数33年、償却率0.031
●軽量鉄骨造…耐用年数40年、償却率0.025
●鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造…耐用年数70年、償却率0.015


なお、耐用年数に応じた償却率については国税庁のホームページで閲覧できるため、建物の構造ごとに確認してください。

経過年数

経過年数は、建物を取得してから売却するまでの年数です。
所有期間が6か月以上は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。
たとえば、15年2か月所有していた場合の経過年数は15年、15年7か月所有していた場合は16年となります。
先述のとおり、不動産に関して減価償却が必要になるのは、譲渡所得税を計算するときです。
不動産の売却で譲渡所得を得た場合は、確定申告が必要です。
譲渡所得が生じなければ、確定申告をする必要はありません。
確定申告が必要かどうかは、前章で解説した「譲渡所得=譲渡価格-取得費-譲渡費用」という計算式を用いて確認できます。
たとえば、3,000万円で購入した建物を、2,800万円で売却する場合で考えてみましょう。
建物の減価償却費が500万円の場合の取得費は、「3,000万円-500万円=2,500万円」となります。
譲渡費用が200万円かかった場合、譲渡所得は以下のように計算できます。
2,800万円-(2,500万円+200万円)=100万円
上記のように、残った金額がプラスの場合は確定申告が必要です。

▼この記事も読まれています
不動産の共有名義を解消する方法は?共有したままにするリスクも解説

不動産の売却で減価償却をおこなう場合の注意点

不動産の売却で減価償却をおこなう場合の注意点

最後に、建物の減価償却をおこなうにあたって知っておきたい注意点について解説します。

注意点1:取得費がわからない場合は「概算取得費」を計上する

親から相続した実家を売却するようなケースでは、親が実家を購入してから年数が経っており、購入価格がわからないケースもあるでしょう。
購入価格が不明の場合、取得費をいくらで計上すれば良いかわかりません。
そのような場合は、「概算取得費」を計上することが可能です。
概算取得費は、以下のように計算します。
概算取得費=売却価格×5%
たとえば、建物を2,800万円で売却した場合の概算取得費は、「2,800万円×5%=140万円」となります。
つまり、親が購入したときの価格がわからなくても、140万円は取得費として計上できるということです。
しかし、建物の購入価格が140万円ということは考えにくいですよね。
概算取得費は、本来であれば計上できる取得費よりも低くなることが多いため、取得費がわかるものを探してみることをおすすめします。
売買契約書がなくても、通帳やローンの金銭消費貸借契約書など、購入代金を支払ったことを証明できる書類があれば認められる可能性があるため、できるだけ探してみましょう。
反対に、実際の取得費が概算取得費よりも低い場合は、概算取得費を計上したほうが譲渡所得を抑えられます。

注意点2:譲渡損失が生じても確定申告をしたほうが良い

不動産を売却し、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引くと、譲渡損失が生じることもあるでしょう。
譲渡所得が得られなかった場合、譲渡所得税は課されません。
しかし、確定申告をすることで、ほかの所得にかかる税金から控除を受けられる軽減措置が設けられています。
これを「損益通算」といいます。
ただし、損益通算をおこなうためには確定申告が必要です。

▼この記事も読まれています
共有物分割請求訴訟とは?メリットとデメリットについて解説

まとめ

不動産の売却後に譲渡所得を算出する際に、建物の取得費については減価償却費を差し引いた金額を計上します。
減価償却費は、建物の耐用年数に応じて定められた償却率と、取得してから売却するまでの経過年数を用いて計算することが可能です。
建物の購入価格がわからないと概算取得費を計上することになり、譲渡所得から差し引ける取得費が実際の金額より低くなってしまうため注意が必要です。


”共有持分売却窓口のお役立ちブログ”おすすめ記事

  • 東京都調布市の持分買取り・リースバックのご依頼の画像

    東京都調布市の持分買取り・リースバックのご依頼

    共有持分売却窓口のお役立ちブログ

  • 一棟マンション・アパート・ビル等の共有持分売却についての画像

    一棟マンション・アパート・ビル等の共有持分売却について

    共有持分売却窓口のお役立ちブログ

  • 令和7年4月のご相談・ご依頼状況の画像

    令和7年4月のご相談・ご依頼状況

    共有持分売却窓口のお役立ちブログ

  • 令和7年3月のご相談・ご依頼状況の画像

    令和7年3月のご相談・ご依頼状況

    共有持分売却窓口のお役立ちブログ

  • 親との共有名義の実家の画像

    親との共有名義の実家

    共有持分売却窓口のお役立ちブログ

  • 今月のご依頼状況の画像

    今月のご依頼状況

    共有持分売却窓口のお役立ちブログ

もっと見る