同意なしで共有持分の不動産は賃貸活用できる?契約書の注意点を解説

共有持分売却窓口のお役立ちブログ

新井 一毅

筆者 新井 一毅

不動産キャリア22年

同意なしで共有持分の不動産は賃貸活用できる?契約書の注意点を解説

相続などで土地や建物を複数人で引き継ぐと、共有者全員の同意がなければ賃貸活用はできない可能性があります。
賃貸物件にすると報酬が得られる一方で、管理などで手間や費用がかかるため入念に準備を進めなければなりません。
本記事では、共有持分の不動産を賃貸活用する方法をお伝えしたうえで、よくあるトラブルと契約書作成の注意点を解説します。

共有名義の不動産を賃貸物件にするには共有者の同意が必要になる

共有名義の不動産を賃貸物件にするには共有者の同意が必要になる

共有名義で所有している土地や建物は「賃貸活用できない」と誤解している方も多いですが、共有者全員が合意していれば第三者に貸せます。
共有持分のみを第三者に貸し出すのは物理的に不可能なため、ほかの共有者たちと話し合いをして一定の条件を満たさなければなりません。
貸し出す行為のみに限らず、共有者の同意が必要になる行為と、共有持分のみは自由に扱える行為があります。
そもそも、土地や建物のような共有物の管理方法は「保存行為」「管理行為」「変更行為」の3種類に区分されます。
保存行為とは、土地や建物の現状を維持するための修理や不法占拠者へ明渡請求などが該当し、制限解消の条件は共有者の持分価格の過半数以上です。
管理行為とは、土地や建物を利用するための貸し出しなどが該当し、制限解消の条件は共有者の持分価格の過半数以上です。
変更行為とは、軽微な変更と軽微以外の変更に細分化されます。
軽微な変更とは、形状や効能に大きな影響がない外壁・屋根の修繕などが該当し、制限解消の条件は共有者の持分価格の過半数以上です。
軽微以外の変更とは、形状や効能に大きな影響がある売却や増改築などが該当し、制限解消の条件は共有者全員の同意です。
2023年の民法改正により、共有名義の不動産財産に対する取り扱い方法にはいくつかの変更点が生まれました。
そのうちのひとつが賃貸借契約が3年以内の「短期賃貸借」契約に関するものです。
改正前の民法は、短期活用の場合は共有者の過半数、長期活用の場合は共有者全員の合意がなければ実行できませんでした。
さらに、短期的か長期的かの判断基準が明確に設けられていなかった背景もあり、実際には貸し出し期間に関わらず共有者全員の合意が必要な状況でした。
しかし、少子高齢化などで土地や建物の相続が細分化されている家庭が増えており、共有者の一部と連絡が取れずに放置されるケースが増加して社会問題に発展しています。
そこで、放置される土地や建物を減らすために、貸し出し期間の基準の明確化と所在不明の共有者がいる場合の変更・管理行為に関する改正が実施されました。
短期借地権の範囲は、樹木の植栽もしくは伐採を目的とする山林の貸し出しは5〜10年・建物の貸し出しは3年・不動産の貸し出しは6か月です。
短期借地権の範囲内であれば、共有者の過半数以上の同意で該当不動産を第三者に貸し出せるようになりました。

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共有名義の不動産を賃貸物件として経営する場合によくあるトラブル

共有名義の不動産を賃貸物件として経営する場合によくあるトラブル

共有名義の不動産を賃貸物件として経営する場合によくあるトラブルは、経営方針・家賃収入の分配・アパート管理・固定資産税の負担の4点です。
まず、賃貸活用をするにあたってどれほどの費用をかけるのか・誰が管理会社とやりとりをするのか・いつまで活用し続けるのかなどの意見の食い違いが起こりやすいです。
経営を始める前には納得していたとしても、実際に入居率が悪かったり修繕費用が高くついたりしたときに、共有者の中で考え方が変わるケースも考えられます。
自分の方針とは異なる結果になったときのトラブルを未然に防ぐため、民法では「共有物の分割請求」を設けています。
ほかの共有者と意見が食い違ったときは、共有状態の解消・ほかの共有持分を買い取って単独所有とする代償分割・売却して現金化する換価分割などが可能です。
ただし、後からトラブルが起きても対応しやすくするためには、話し合いをした内容を書面上に残しておく事前対策が大切です。
書面で残っていれば、全員が納得した状態でトラブル解決に導きやすくなります。
続いて、借主から受け取る家賃は代表者の口座にまとめて振り込まれるのが一般的ですが、家賃を公平に分配してくれないとの理由でトラブルになるケースも散見されます。
賃貸活用をするうえで管理会社や入居者とのやりとりを誰がやるかにもよりますが、あらかじめ家賃の分配は全員が納得する形を取らなければなりません。
必ずしも均等にする必要はありませんが、アパート経営に関わる割合などを加味して全員が納得する割合が決まったら、必ず順守してください。
家賃トラブルに関しては、受益者に対して不当利得返還請求をすると、本来受け取る権利のある利益分を支払ってもらえます。
さらに、複数人で所有権を持つ場合は、アパートの管理方法についても不平等が生じやすいです。
トラブルが起きたときに管理会社や入居者とやりとりをする代表者を決める必要がありますが、その人だけに負担が多くなれば不満が出るのは当然です。
そのほかにも家賃収入があれば確定申告などの事務作業もおこなわなければならないため、共有者全員で管理の分担をする必要があります。
非協力的な共有者に対して罰則はないものの、ほかの共有者とのトラブルになるのであれば、早急に共有状態を解消する選択も必要です。
最後に、土地や建物を所有している状態であれば、必ず固定資産税の負担が義務付けられています。
民法上では共有者全員が税金を負担する義務があるとしているものの、代表者の支払いに応じなかった共有者に対する罰則はありません。
納税義務を怠る共有者に対しても、必要に応じて共有状態を解消する選択を検討しましょう。

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共有名義の不動産の賃貸借契約書の作るときの注意点

共有名義の不動産の賃貸借契約書の作るときの注意点

共有名義の不動産の賃貸借契約書を作るときの注意点は、契約者全員の情報を記載・賃貸収益は持分割合と一致させる・専門家の確認の3点です。
まず、土地や建物を第三者に貸し出すのであれば、代表者のみではなく共有者全員の情報を賃貸借契約書に記載する必要があります。
代表者のみの情報を記載していると、後からほかの共有者が「貸し出しに同意していない」と主張して借主を巻き込むトラブルが懸念されます。
そのため、全員が納得していると証明するためにも、名前・住所・押印など必要事項を共有者全員分記載しておきましょう。
続いて、賃貸収入が発生したときは人数単位ではなく自分単位で分配するのが原則です。
たとえば、3人の共有者が1/3ずつ共有持分を持っていれば問題ありませんが、共有者の1人が1/2・残りの共有者2人がそれぞれ1/4ずつ共有自分を持っている場合は注意が必要です。
同じ不動産の共有者であっても家賃収入で受け取れる額は異なります。
家賃収入を多く受け取る権利がある代わりに、修繕費や管理費などの諸費用の支払い負担も大きくなる点を理解しておきましょう。
最後に、賃貸借契約書の作成が完了したら弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に契約書の内容を確認してもらうようにしてください。
国土交通省が提供している賃貸借契約書のテンプレートを活用すれば大きなミスは起こりづらいですが、途中で追記・削除をした場合は注意が必要です。
意図的でなくても契約内容が法律に反していた場合は、後からペナルティの対象になってしまうため、必ず専門家に確認してもらう作業を挟みましょう。

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まとめ

共有名義で不動産を所有している場合、共有持分のみを賃貸活用できないため、共有者と話し合いが必要です。
複数の共有者でアパート経営をするとなれば、管理費の支払いや家賃収入の受け取り口になる代表者を決めますが、全員で協力しなければなりません。
非協力的な共有者に対しては後から共有状態を解消する申し出もできますが、トラブルを未然に防ぐためにも定期的なコミュニケーションが求められます。


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