相続空家の特例とは?共有名義と他の特例と共有できるケースを解説

共有持分売却窓口のお役立ちブログ

新井 一毅

筆者 新井 一毅

不動産キャリア22年

相続空家の特例とは?共有名義と他の特例と共有できるケースを解説

超少子高齢化によって日本国内では空き家が社会問題となりつつあります。
それに伴い、日本政府は空き家問題の解決に向けて、さまざまな特例を用意しているため、適用要件を満たしているのであれば早めに売却するのがおすすめです。
そこで今回は、相続空家の特例とは何かお伝えしたうえで、共有名義の物件に適用できるのかと小規模宅地の特例と併用できるのかについて解説します。

相続空家の特例とはどのようなものか

相続空家の特例とはどのようなものか

相続空家の特例とは、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に相続で取得した空き家を売却したときに、要件に当てはまる場合、最大3,000万円の控除を受けられる制度を指します。
日本国内では相続した空き家の使い道がなかったり売却活動するのに手間を感じたりして放置するケースが増えており、腐敗・倒壊など深刻な社会問題となっています。
そこで日本政府は平成28年4月1日から、被相続人の居住用不動産を相続して空き家になったケースを対象に大幅な控除を設けたのです。
そんな相続空家の特例を利用できる対象者は、被相続人が住んでいた土地もしくは建物を相続・遺贈した方です。
対象不動産は、「相続直前まで被相続人が一人で住んでいた」「昭和56年5月31日以前に建築されている」「区分所有建物登記されている」の3点をすべて満たしている必要があります。
また、不動産の譲渡が平成31年4月1日以降の場合、被相続人が居住用物件から老人ホームや介護施設に入居していても適用可能です。
そのほかの適用要件は、「相続開始から3年経過した年の12月31日までに申請」「売却価格は1億円以下」「相続から譲渡まで事業用・貸付用・居住用として使っていない」「一定の耐震基準に適合」「第三者への売却」などです。
売却料金の支払いが複数回になった場合は、すべての金額を合算したうえで判断されます。
さらに、一定の耐震基準を満たしていない場合、耐震リフォームが必要です。
不動産譲渡が令和6年1月1日以降の場合、耐震基準の規定が一部緩和されており、空き家の購入者が不動産譲渡した翌年2月15日まで耐震リフォームもしくは取り壊しをおこなえば、現状のままで譲渡が認められます。
そして、すべての適用要件を満たしていたとしても、自動的に控除の対象になるわけではなく、翌年の確定申告のときに必要書類の提出が必要です。
必要書類は、譲渡所得の内訳書・対象家屋と敷地の登記事項証明書・売買契約書のコピー・被相続人居住用家屋等確認書です。
家屋がある場合に限り、耐震基準適合証明書もしくは建設住宅性能評価書のコピーも提出します。
なお、被相続人居住用家屋確認書は、該当不動産のある市区町村から交付されます。

相続空家の特例は共有名義の物件にも適用できる

相続空家の特例は共有名義の物件にも適用できる

不動産を相続する場合、法定相続人が複数人いると土地や建物を共有している状態になります。
相続時、預貯金であれば分配しやすいですが、不動産のような財産は分配が難しく、共有者がそれぞれ持分を持っている状態が維持されます。
そのため基本的には、共有物件であっても適用要件を満たしていれば相続空家の特例の適用が可能なのです。
ただし、被相続人と相続人の共有状態と相続人同士の共有状態では、適用範囲が異なるため事前に確認しておく必要があります。
たとえば、被相続人と相続人がそれぞれ2分の1ずつ不動産を共有していた場合、特例が適用できる範囲はあくまで被相続人の持分のみです。
つまり、2分の1の不動産は特例の適用対象ですが、生存している相続人の持分は適用されません。
また、相続人同士で不動産を共有している場合、それぞれの相続人に対して特例が適用されます。
たとえば、2人の共有者がいる場合、それぞれの共有者に対して最大3,000万円の控除が適用されるため、一つの不動産に対して最大6,000万円の控除が受けられます。
ただし、令和6年1月1日以降に不動産譲渡をする場合、共有者が3人以上になると各相続人の控除額はそれぞれ最大2,000万円までと減額されるため注意が必要です。
各相続人の控除額は減額されていますが、総額の控除額は6,000万円となっているため、相続人の数が多ければ多いほど控除額が高くなると期待できます。
とはいえ、一般的には土地や建物のように分配ができない財産の共有は推奨されていません。
一つの財産を複数人で共有する場合、売却・運用をするタイミングで共有者全員の合意がなければ実行できない上、手続きでは全員分の署名・捺印などが必要で手間がかかります。
また空き家の状態が長くなって相続人の一人がなくなると亡くなった方の持分のみ相続されてしまい、相続人の数が増え続けてしまい、いざ売却をおこなおうとしたときに手続きが複雑化している可能性が考えられます。
なお、相続人同士で話し合いができていて、相続した時点ですぐに不動産を売却し、相続空家の特例を有効活用するのであれば問題ないでしょう。

相続空家の特例と小規模宅地の特例が併用できるケースについて

相続空家の特例と小規模宅地の特例が併用できるケースについて

被相続人が住んでいた土地を相続した場合、相続税の負担を軽減できる制度として「小規模宅地等の特例」があります。
この特例を適用することで、相続税の額を減らすことが可能です。
さらに、この特例を利用した場合でも、売却時には「相続空家の特例」を併用できるケースがあります。
ただし、すべてのケースで相続空家の特例と小規模宅地等の特例を同時に適用できるわけではありません。
どのような時に認められているかというと、一定の条件を満たした場合に限られます。
たとえば、被相続人が亡くなったことにより、住まいが空き家となった場合、小規模宅地等の特例を利用できるのは、次のいずれかの条件を満たすときに限られます。

●相続人が持ち家を持っていない場合
●配偶者がその宅地を相続した場合


小規模宅地等の特例を適用するには、通常、相続人が被相続人と同居していたことが前提条件となっています。
しかし、相続人に持ち家がない場合には、たとえ生前に同居していなくても「家なき子特例」により適用が認められることがあります。
この特例を適用するためには、相続した空き家を相続税の申告期限まで所有しておく必要があるため、すぐに売却することは避けたほうが良いでしょう。
一方、配偶者が被相続人の自宅を相続した場合には、生前の同居の有無にかかわらず特例を適用でき、売却時期に関する制約もありません。
ただし、配偶者が小規模宅地等の特例を利用し、かつ、相続空家の特例を併用する場合には、適用条件にとくに注意する必要があるのです。
たとえば、適用条件として、被相続人が一人暮らしをしていたことが求められるため、これらの特例が併用できるのは、生前に被相続人と配偶者が別居していた場合などに限られるのです。
このように、相続空家の特例と小規模宅地の特例を併用するためにはいくつかの適用条件があるため、事前に条件を確認すると良いでしょう。

まとめ

相続空家の特例は、将来的に増加し続ける可能性がある空き家問題を解決する目的で施行された制度です。
最大3,000万円の控除が受けられ、複数の相続人と共有状態であれば各相続人が控除を受けられるため、控除の合計額は増えます。
小規模宅地の特例など他の制度と併用できる可能性もあるため、細かく適用要件を確認したうえで、手続きを進めて行きましょう。
共有名義の不動産の売却でお困りの方はぜひ弊社へご相談ください。


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